東京地方裁判所 平成2年(特わ)234号 判決 1990年6月07日
本店所在地
東京都新宿区西新宿七丁目六番五号
順幸産業株式会社
(右代表者代表取締役 幸本初美)
本籍
京都市南区西九条開ヶ町二五番地
住居
千葉県松戸市六高台三丁目一〇五番地
会社役員
幸本守平
昭和一八年五月二二日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子、西尾正出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人順幸産業株式会社を罰金一二〇〇万円に、被告人幸本守平を懲役一〇月にそれぞれ処する。
被告人幸本守平に対しこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社順幸産業株式会社は、東京都新宿区西新宿七丁目六番五号に本店を置き、不動産売買等を目的とする資本金一五二〇万円(昭和六一年八月五日以前は二〇〇万円、同六三年一月二六日以前は三八〇万円)の株式会社であり、被告人幸本守平は、右会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人幸本は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の貸倒損失を計上し、あるいは架空の支払手数料を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四八六二万九七五円(別紙一の修正損益計算書参照)であつたのにかかわらず、右法人税の確定申告期限の経過後である同六一年五月三一日、同都同区北新宿一丁目一九番三号所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が二八四万四三一六円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二〇〇六万八四〇〇円(別紙二の脱税額計算書参照)を免れ
第二 昭和六一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五九八三万二〇四六円(別紙三の修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、右法人税の納期限である同六二年二月二八日までに、前記淀橋税務署長に対し法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度の法人税額二四九二万三二〇〇円(別紙四の脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する平成二年二月一八日付、同月二四日付、同月一一日付、同一三日付、同月二三日付、同月七日付各供述調書
一 登記官諸橋功作成の登記簿謄本
一 収税官吏作成の売上高調査書、給料手当調査書、顧問料調査書、支払手数料調査書、車両費調査書、地代家賃調査書、営業費調査書、受取手数料調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、支払利息割引料調査書、売上戻し高調査書、分配金調査書
一 片桐忠夫の検察官に対する供述調書(謄本)
一 若松俊男の検察官に対する平成二年二月一六日付供述調書(謄本)
一 検察事務官作成の報告書
判示第一の事実につき
一 被告人の検察官に対する平成二年二月一九日付供述調書
一 収税官吏作成の貸倒損失調査書、申告欠損金調査書
一 検察官作成の報告書
一 押収してある法人税確定申告書一袋(平成二年押第二二九号の1)
判示第二の事実につき
一 被告人の検察官に対する平成二年二月二一日付供述調書
一 収税官吏作成の福利厚生費調査書、広告宣伝費調査書、新聞図書費調査書、諸会費調査書、接待交際費調査書、旅費交通費調査書、通信費調査書、事務消耗品費調査書、消耗品費調査書、租税公課調査書、修繕費調査書、水道光熱費調査書、保険料調査書、雑費調査書、事業税認定損調査書、法人税県市民税調査書、給料手当調査書、雑収入調査書
一 若松俊男の検察官に対する平成二年二月一〇日付、同月一四日付各供述調書(各謄本)
一 若林政雄の検察官に対する供述調書(謄本)
(法令の適用)
被告会社の判示各所為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状によりそれぞれ同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪につき定めた罰金を合算し、その範囲内で被告会社を罰金一二〇〇万円に処し、被告人幸本守平の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 松浦繁)
別紙一
修正損益計算書
順幸産業株式会社
自 昭和60年1月1日
至 昭和60年12月31日
<省略>
別紙二
脱税額計算書
順幸産業株式会社
自 昭和60年1月1日
至 昭和60年12月31日
<省略>
別紙三
修正損益計算書
順幸産業株式会社
自 昭和61年1月1日
至 昭和61年12月31日
<省略>
別紙四
脱税額計算書
順幸産業株式会社
自 昭和61年1月1日
至 昭和61年12月31日
<省略>